降りた先【蘭マサ】



※付き合ってない
お題「もう戦わなくていいんだ」


何も知らないくせにと日々思っていたら睨んでる顔をよくしているねとヒロトさんに言われたことがある。さらに隣にいた緑川さんからは笑った方がいいよと付け加えられた。
実際そうだろうなと思う。たとえ作り笑いでも笑っていた方が相手は安心し気を許す。そこから自分の居場所を作り上げるのだ。
ただ、センパイはそうじゃなかった。あの人は不器用で自分の気持ちすらも分かってないのだ。なんだかそれがイライラしてついぶつかってしまう。考えが合わないのではと思いつつも、プレーの息ぴったりでセンパイはセンパイなりにオレを分かろうとしているかもしれない。
「狩屋、よく眠れたか」
「ん……あれ?寝てましたか?」
遠征先からバスで帰ってきていたはずだが、気がつくと他の人はもうバスを降りたようだ。
「よく眠っていたよ。お前も頑張ってたもんな今日の試合」
「……それは本当に思ってますか?」
また睨んでしまう。しかしセンパイは頭をポンポンと軽く叩いた。
「当たり前だろ、オレたちのブロック技でシュート何回止めたと思っている」
早く降りろよ、みんなが待っているからとセンパイは先にバスを降りていった。
「……ズルいなあの人は」 
ニヤけてしまう口元をなんとか戻しつつ、荷物を持ってバスを降りたのだった。





20210914





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