伸ばした手は繋いで眠る【吹照】



※付き合ってないのに事後です。





先に目を覚ましたようで、起きたら綺麗な顔とご対面だった。いつの間にか繋がれていた手は眠ったあとも繋がれたままだった。
人間らしくなりたいと小さなか細い声で言われたときは、どうしてそんなことをいうのだろうと僕は寂しくてキスで埋めた。
照美くんは人間だ。それはきっと他の人も分かっているはずで、ただ彼は望まれれば望みを叶えようとしてくれるだけだ。なんの力もないはずなのに、端麗な容姿のためかみんな人間ではないものとして思ってしまうのか。
1番は彼が自分を人間だと思ってないのかもしれない。
背中をみて羽の跡もないまっさらな白い肌は僕の跡しかない。僕が君に縋った証だけが刻まれている。
「僕は君の優しさにつけこんでこんなことしてしまう愚かな人間だよ」
自分でため息が出るくらいに。惑わされてしまう。
「なら僕も愚かな人間の仲間入りだ」
いつの間にか起きていた照美くんがそっと唇を合わせる。
「君は僕のことを好きじゃなくなる。好きになってはいけないと僕がいうから。だから昨晩の身体を合わせたことはただ愚かなことをしたまでだ」
離れた唇から紡がれる忘れなさいという啓示。ああ神様じゃないくせに、僕は頷いてしまう。
「寂しくなったらまたしようね」
僕からしたキスは約束のキスだからと言っても、君は関係のないのだろう。




20210911




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