君の居場所【シロアツ】



兄ちゃんは優しくない。でも好きだ。嫌いにはなれない。だけど、俺が兄ちゃんを苦しめているなら嫌いになる。そうすれば兄ちゃんはオレを嫌いになって忘れてくれる。しばらくして、ようやく兄ちゃんは来るなと言った。これでいい。あと少しだ。早く手を外すんだ。

「いい加減外せよ!」

兄ちゃんはとうとうサッカーが出来なくなった。オレの重さでこうなった。俺も兄ちゃんもすでにどうしていいか分からなかった。黒く塗りつぶされた。いるのかすら分からない俺。

「声がする」

暗闇のどこかから、俺を呼んでいる。

「アツヤ!」

「兄ちゃん…俺はもういないんだよ。早く離れろよ」

「アツヤ!アツヤ!」

声は大きくなるばかりで、耳が痛くなった。もうそれ以上、
「呼ぶなよ…兄ちゃん!!」
うああん!と泣け叫んだ。ボロボロと溢れてとまらない。
「やっと見つけた。一緒にいこう」
兄貴が笑って手を差しのべている。昔一緒に謝ろうって手を差しのべたときと同じ優しい笑顔。
「でも…でも俺!」
一緒にいると兄ちゃんを困らせると言おうとして遮られた。
「アツヤ、僕はアツヤが好きで一緒にいてくれなきゃダメみたいなんだ。僕分かったんだよ。アツヤの居場所。今までこんな暗いところにいさせてごめんね」
自然に差しのべられた手を取ると、グイッと引っ張り出されて士郎はギュッと俺を抱き締めた。そこは光に溢れていた。
「ここだよ、アツヤ。君の場所。あったかいだろ?」
士郎の体温が、カチコチに凍っていた俺の身体が溶けていく。
「あったかい…けど、兄貴痛いよ」
士郎は目をパチクリさせて少し腕を緩ませたが、笑ってまた強く抱き締めた。
「これくらいがいいだろ?アツヤは」
ホント優しくないなーと呟いて、アツヤも士郎を抱き締めた。














僕の一番あったかいところが
君の居場所




20110406




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