心残りになれ【大人照吹】



※別れたあとの話





バイバイと見送った時の後ろ姿が離れなかった。引き止めることができなかったと、北海道へ向かう飛行機の上で後悔しても意味がない。
どうすればよかったのだろうかと考えてもあの日から答えは出なかった。
それからお互いが忙しくて、愛おしい日々もどんどん新しい記憶が積み重なってそういうこともあったねと僕は胸を抑えることもない。
半袖じゃ寒い9月の朝焼けをみて、思い出す気持ちはいつかまた赤く燃えて走り出すのだろうか。
嫌いになったわけでも他の人が好きになってしまったわけでもない。
一緒にいてはお互いのためにならないと照美くんは判断したから。僕は受け入れてしまった。
「きっとそれが駄目だったんだ」
泣きたくても泣けなくて、どう解決したらいいか糸口が分からなくて、ただ忘れられない小さな愛しさを胸にサッカーボールを持ってグラウンドへと向かう。
今日から白恋中でコーチを頼まれている。今の中学サッカーはいろいろとあるみたいだけれども、自分の時もいろいろあったしなんとかなるだろう。
照美くんも今はどうしているのだろうか。僕と別れて後悔していたら少しは嬉しんだけど、って今度会えあら言ってみたいものだ。
 
きっとそんな余裕はどこにもない程、心に君がいる。




20210907




prev next








×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -