ストップ!【ひいあい】



※付き合ってると思う
お題「5分!5分ちょうだい!」


 

「楽しかったね!藍良」
「うん、うん?そ、それは分かるんだけどーーーー近いよ!ヒロくん!」
ぐいぐいと腰に手を回して顔を近づけてくる。互いに先程ライブが終わったばかりで汗で濡れた衣装のままだ。一彩は興奮しているのかキラキラというよりギラギラとした瞳で見てくる。藍良は赤くなって顔をそらしてしまう。
「あ、汗臭いから、ね?離して」
誰が来るかも分からない通路と通路の隙間に引っ張られて、ああヤバいと思った。ライブとはまた違うドキンドキンとした胸の高まりがこれから起こることを期待してしまう。流されちゃいけないと思いながらも、一彩の息遣いが耳元で聞こえるとビクンと身体が反応してしまう。
「藍良……ねえ」
「んうう……待ってよ、待って。おれだってしたいけど!ここで今してたら止まらなくなるから!」
近づいてくる唇を自分の手で唇を隠して止めた。ライブで目が合ったときに最高な気持ちになったし、こんなにも間近で一彩を見られることに感謝した。一緒に肩を並べて踊って歌える。それが嬉しいし尊いのだから、今この衣装を着て別の愛に溺れるわけにはいかない。
一彩は少し分かってないように首を傾げたが、フムと考えて藍良の腰から手を離した。
「よ、よかった……」
ほっと胸を撫で下ろすと藍良の手に一彩がトンと軽く叩いた。
「藍良だってライブ後にすぐキスしたいことが分かってよかったよ!」
ニコニコと爽やかそうになんてことを言うんだと真っ赤になっていたところで、先輩たちに見つかったのだった。




20210905




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