作られた世界【照吹】





※世界線が少し歪んだ世界の二人です。






「誰にも言ってはだめだよ」
と彼は屋上から飛び降りた。心臓が止まるように思えたが、彼は大きな6枚の白い羽を広げてゆっくりと降りていった。
僕は口をパクパクとさせて見下ろしたがその近くにいたはずの人や通行人は全く気にも止めない。
「どういうこと……」
顔を上げてへたり込んでいるとバッサと羽音を立てて僕の目の前に降りてきた金髪の彼はシーっと人差し指を口に添えた。
「騒がないでね。僕の今のこの姿は君にしか見えていない。今回は君を救うようにとお告げがきた……そう君だけの天使みたいなものだから。誰にも喋ってはいけないよ」
救う、という言葉に引っ掛かった。何を救うというのだろうか?僕は何も困ってはいないし、いつも普通に楽しく生きている。誰かに救ってほしいことなどないはずだ。
「ああ、君は分かってないみたいだね。そっか、そういう風になっちゃったんだ」
彼は何かに気づいて納得し、フムと頷いた。僕にはさっぱりわからない。
「大丈夫だよ、僕を信じて」
彼はゆっくりと地面に足をつけて僕に笑顔を向けたのだった。




20210830




prev next








×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -