無くした鍵の行方【創作】






※主体が違うため、創作表記になります。苦手要素がある方はすみません。





カツンと音がして落ちたものを拾うと古い鍵が出てきた。
「なんだろう?こんな大きなもの……あ!もしかして!」
私はガサガサとゴミをかき分けてとある鍵のかかった古い箱を見つけた。見つけた鍵を差し込むとピタリと入り、回して開けてみた。
箱の中には何枚かの学ランを着た男の子二人が写っている写真と、メモのような小さな紙切れが入っていた。
4つに折れていた紙を開くと一言だけ書かれていた。
《好きでごめんなさい》
咄嗟に写真へと目を向けた。写真の一人には見覚えがある。ここに住む祖父に目元が似ているのだ。
「これって……そういうこと!?ほんとに!?」
祖母ではない方をよく見ると、言われてみれば祖父に向ける視線が友だちのようには見えなかった。笑い合っているのになんだか切なそうな表情に見えなくもない。
私は2次元だけどBLが好きでよく読む方だ。だが身内がそういう体験をしていたとは知らなかった。
「祖父はこの人をそういう目で見れなくて、こうして思い出とともにしまったのかな……」
私は元に戻して箱に鍵をかけた。鍵を見つめながら思考を巡らせる。見られたくないと思って鍵をかけたのか、見られる可能性がありながらも大事に取っておいたのか。突然この家から居なくなってしまった祖父は何を考えていたのだろうか。
「本当にどこにいるのやら」
私は部屋の掃除を再開した。

祖父の居場所は掃除や家の引取など全て終わったあとに、写真付きのエアメールと共に届いた。
そこには昔の面影が僅かに残るあの写真の二人が幸せそうな笑顔で写っていたのだった。


20210828






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