頑張ったからご褒美【ひいあい】





※付き合ってない。




「藍良、お疲れ様」
教室にやってきたのは先にレッスンへと向かったと思った一彩だった。先程までしんどいと我慢してた気持ちが逆恨みのように溢れてくる。
「ヒーロくんはいいよね、常識がないのに頭が良くてさ……居残りさせられなくて」
「居残りは藍良がしっかりと勉強しなかったせいでは?僕は居残りしてしまう程何を授業中考えていたんだろうって思ったよ」
こんな嫌味みたいなことを言っても本人は何も悪気ないのである。ただ正直に自分の意見として言っているだけだ。
だから余計にムカついてしまう。
「はーもー!仕方ないじゃん!?アイドルの仕事もやってレッスンもやって、一般教養を入れる脳のスペースないよ?!おれにはなんとかねじこむくらいが精一杯なんだから見逃してほしい!!」
足をバタバタとさせるとなんだか泣きたくなってくる。今まで憧れていたアイドルたちも同じような道を来たのだろうか?居残りしてしまう程の人はいたのか少し気になるところだ。
おそらくおれがトップアイドルだと思ってる人は居残りはしていないだろう。
「とりあえず居残り授業も終わったのだし早くレッスンに行こう。先輩たちが待っている」
それもそうだ。藍良は帰る準備をしながらふと思いついたことを一彩に頼んでみる。
「ね、ヒロくん。頭を撫でてくれない?よく頑張りましたって」
「ム?何故だい?」
「いいからお願い!」
藍良は手を合わせて一彩に頼んだ。すると一彩は分かったと頷いて藍良の頭に手を置いた。
「藍良、よく頑張ってるよ」
少し優しくない力加減の撫で方だが嬉しくなる。
おれは頑張った!今日も学校頑張ったんだ!
「えへへ……ありがとうヒロくん」
口元が緩んで首をすくめる。と、撫でていた一彩の手が止まった。もう終わりかなと顔を上げると一彩の顔が何故か赤かった。
「ヒロくん?どうしたの……」
「何故かすごく……すごく良かった」
何がときいたが一彩は答えずに早く行こうと急かした。前を行く一彩の耳はなかなか赤みが取れなかった。
 





20210826




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