宇宙に還らず【円グラ】






※付き合ってないし無印3期あたり。
お題「忘れないで、忘れたくないんだ」




敵だからという意識でみていなかった。ただ気になる、それだけで彼へと接触した。
「本当に宇宙に還れたら良かったのに」
ヒロトの姿に戻って彼を見るたびに、知らない自分の感情に発見する。一番は共にサッカーが出来れば良かったのだけれど、今はグランの姿でしか共にサッカーをすることができない。
グランの姿なら彼の近くで想いをぶつけ合いながらなんともいえない気持ちにただ埋もれていける。それでよかった。それで宇宙へと還りたい。
叶わないというなら永遠に会えないままで良かったのだ。

「円堂くんは宇宙に行ってみたいかい?」
「宇宙に?そーだな……本物の宇宙人とサッカーが出来るなら行きたいかな」
「ふふ、そっか」
一番星が出た空を眺めながら手を伸ばす。掴めないあの向こうへオレが行けるなら。オレが本物のグランになって宇宙へと還れればこんなことも思わなかった。
「でも今はヒロトとのサッカーが楽しいぞ!」
太陽の沈んだ空より明るい彼がオレをみて隣で笑う。ああそう思わせているなら、彼の中でグランは生きているんだな。
「ありがとう。オレも円堂くんとのサッカー出来て嬉しいよ」
叶わなくても苦しくても好きでいられて側にいられるなら、宇宙を眺めているのも悪くない。




20210822




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