見えた表情【いつ純】




※付き合ってます!
お題「いつから愛してる?いつから?」



歌っているときに目が合うと少し笑いそうになる。一緒に横に並んで踊り、向かい合って互いの声を重ね合い、ああ気持ちいいと思いながらもやっぱり気になってしまう。
「純哉くんはいつからオレのこと愛してますか?」
ライブが終わって着替え終わった純哉にそう声をかけた。純哉は座っていた椅子からガタガタと崩れ落ちた。
「は?!おま、お前何急に言い出すかと思えば」
胸を抑えながら純哉は椅子に座り直してコホンと咳払いをした。
「ごめんなさい、今日歌っていてつい気になって」
「……謝らなくていい。そういえば話したことなかったよな」
純哉は時計を見てからポンポンと自分の隣の椅子を叩いた。おそらく退出の時間を気にしたのだろう。まだ少し時間があるはずだ。
「愛してるのはずっと前からだけど、その“愛している”の意味が変わったのはお前に告白された時だ」
「そうなんですね……だから今日の“愛してる”って歌ったあとの表情が良かったんだ」
「ん、そうだったか?」
気付いていなかったようだ。愛してると会場に囁いたあとのこちらをみたときの抱きしめたくなるのような顔はオレしかみていないのか。
「フフッ……教えてくれてありがとうございます」
「おう」
素っ気なく言いつつも純哉の耳は赤かった。




20210820




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