おめでとう!【ディアドリ】



「ごめんね、純哉くん。今年はみんなでお誕生日パーティーできなくて」
お誕生日パーティーとは、毎年ディアドリの仲間やたまにクロフネも一緒にメンバーの誕生日を祝っているものだ。パーティーといっても事務所に集まってご飯食べたりプレゼントを渡したりそんな感じのものだ。
「良いことじゃん。それだけみんな忙しいってことだし、オレも誕生日の日は仕事で少し嬉しんだぜ」
そうかなあと奏は寂しそうに言う。今まで出来てたことが出来なくなるのは寂しいかもしれないが、これもまた前に進めている証なんだと思う。
「お前も地方ロケ、頑張れよ」
「……うん!」
 
 
ーー誕生日当日、純哉は生放送の番組に出ていた。今度から始まる若手アイドル番組の宣伝のためだ。その最初の回をディアドリが担当する。
番組は順調に進み、後半いよいよオレの番宣の時だった。
「今度、純哉くんの所属するグループが出る番組があるんだって?」
司会者から回されて、純哉はカメラに向けて話そうとしたら流すはずの番組の映像ではなく千弦が手を振っている。
「え、あれ?なんで千弦が?」
戸惑っていると、映像で千弦がいつきに手を引かれて後ろへと下がっていく。後ろには奏と慎もいた。全員が後ろにがさごそなにかを持って隠している。
《せーーの!!》
奏の小さな掛け声と共に隠していたものが前に出された。そこには、

《純哉くんHB!いつもありがとう!リーダー!》

と書かれたうちわが掲げていた。
「な、なにこれ!?え」
純哉が真っ赤になりながら放送事故なのかと周りを見るとどうやら他の出演者は知っていたらしく微笑ましく見守っている。

《純哉くん!愛してるぜー!》

最後は純哉の真似のようにポーズをとって手を振って映像が終わった。
ハッとしてカメラをみて純哉は一気に頭を回転させた。
「……と、というわけでこんな感じに楽しいアイドルの番組が始まりますので是非見てください!」
純哉はカメラへバチンとウインクを飛ばして顔が真っ赤なのを誤魔化したが、その時のSNSのトレンドは《愛してるぜ!(真っ赤ウインク)》だったと後で知って、純哉は頭を抱えたのだった。





20210817





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