王子様なら知らないかも【照吹】





※全然付き合ってない。高校卒業?のあたり。
お題「ダンス・ダンス・ダンス!」



王子様なら君の方だねとアフロディは僕の手を取った。僕はそうかなと思いながらも適当にアフロディに身体を預けた。始まるような、終わりのような楽しい宴は不思議と心に残った。
 
 
「すごいなー」
吹雪はテレビを見ながら朝食を食べていた。テレビには今季注目のプロサッカー選手としていたが、サッカーの話題より選手自身のカリスマ性にクローズアップしている。綺麗な髪は見るものを誘い目を引きつけて、中性的な顔立ちは本当にアイドルかってくらい美しい。巷では今までにないくらいプロサッカー選手のブロマイドが高値で売られているのだとか。
アフロディは大人になった今でもサッカー選手をしていることに僕は少し不思議だった。そこまでサッカーが好きだとは思えなかったからだ。サッカーは自分の力を見せるための道具と考えていたのではとさえ、世宇子中と雷門の試合をみて思っていた。
 
高校時代にアフロディがいる学校と試合をしたことがある。その後の食事会で二人で抜け出して月明かりの中踊ったのだ。あれは踊ったというよりアフロディがただ僕を振り回しただけかもしれないが。
「楽しかったよ、君たちとの試合は……君は楽しくなかったかい?」
「……ボロ負けだったから楽しいより悔しいかもしれない」
踊り回ったあと地べたに座って話していた。
「それは良かったね」
「どうしてだい?」
アフロディは僕の問いに答えずにじゃあねと手を振って去っていったのだ。
 
あの時僕の問いの答えは今は分かっている。
「僕も同じ舞台に行くからね」
悔しさはより強くなれるきっかけだ。アフロディは誰よりもよく分かっていて、それを大切にしている。負けから得るものを彼は僕より知っていて先に強くなっていたのだ。
朝食を食べ終えてテレビを消して吹雪は支度を始めたのだった。




20210814





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