ヤキ頬を撫でる【ひいあい】





※付き合ってます。
お題「ゲームばかりしてないで構って!」




 
「ねえ、ひーろくん」
「ん?なんだい、藍良。ちょっと手が離せないからあとにしてくれないか?」
一彩が手に持っていたのは小さい頃に流行っていた携帯ゲーム機だ。なんでも同室のひなた先輩から借りて、思った以上に面白かったらしくハマっている。おれが部屋に遊びに来たときもやっているし、なんだか嫌な感じだ。
「……もーーそればっか。ねえ、一回止めてこっちみてよ」
と一彩を揺するが全然動じずにゲームから目を離さない。おれと話すよりゲームの方がいいんだろうか?これならここに遊びにきても意味ないじゃん!と頬を膨らませてスッと立ち上がった。
「もう知らない……自分の部屋に戻るね」
と言って一彩の側から離れようとすると、グッと手を掴まれた。一彩は携帯ゲーム機から手を離していた。見るとゲーム機の画面は真っ黒でなにも表示されていない。
「ごめん、藍良。行かないでほしい」
「も、もしかしてゲームやってなかったの?」
こくんと一彩は頷いて手を引っ張る。
「……兄さんがこれをすれば藍良はもっと喜ぶぞって言われたから」
ーーなるほど……じゃない!あの人また変なことをヒロくんに吹き込んで!!
 
真っ赤になる自分の顔が熱くて悔しくなる。本人はこんなことをしている意味を分かってやっているのだろうか。
「ヒロくんもおれにヤキモチ妬けばいいのに」
ぼそっと声に出していうと頭をこつんとぶつけられた。
「それはいつも妬いているさ。藍良が素敵だから」
ああ、もう、分かっててゲームやってたフリしてたなと頬を膨らませていると可愛いねとその頬を一彩は撫でたのだった。



20210717




prev next








×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -