夢の貴方は違う人【円冬】



※大人になって付き合ってます。円堂は海外にいて冬花は働いている設定。
お題「夢にも出ない」




夢の中で会うのはすごく自分に都合よくあなたは動いてくれて、目覚めた瞬間にああ夢だったのかと大きなため息が出てしまう。
好きだと自覚して会えないことがひどく苦しくて、満たされない想いが不安を誘う。夢なら会えるのに、今は会えない。
サッカーボールを追いかけている姿が好きだから、いつ帰るか分からない世界の奴らとサッカーしてくるといって飛行機に乗る姿を笑顔で見送った。一緒にいけたら良かったけどなとこちらを気遣ってくれただけ有り難かった。
きっと昔ならそんな一言も貰えない関係だったから、今の関係がすごく嬉しいし求めていたものの1つだ。
 
「フユッペはなにも欲しがらないよなあ……もっと言ってくれてもいいのに」
海外へ行く前にそんな話をしていたね。私は笑って誤魔化したけど、欲しいものはあるんだよ。
ーーーー言いたくないだけで。 

通勤準備をして玄関を開けると、眩しい日差しが顔に当たった。モヤモヤとした気持ちでいる自分に気付いた。考えるのはやめよう。言いたいことは言っていいといったのはあなたの方だ。
今、そっちは何時かな?起きているかな?
駅に着いたら電車が来るまでメールをしよう。なんて書こうか、返信来てくれるかな。用事がないと連絡を取り合わないからどんな反応してくれるだろう。
ちょっと心も晴れてきた。考えていれば駅のホームに着いて次の電車まではあと10分ある。携帯電話を取り出して、送信先を決定しさっきまで考えていた文章を打ち込んでいく。

最後の締めはこれでもいいよね。
《夢にも出ないようなマモルくんに早く会えるように今日も仕事頑張るよ》

メールの最後のちょっと欲出た一文に気付いてくれるといいなあと私は送信ボタンを押したのだった。



20210628




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