笑いあえば友達【佐久間と不動】





「なんでお前とお使いなんか行かなきゃならないんだ」

佐久間はジロッと不動を睨む。
「なら来なきゃよかったじゃん」

不動がやれやれと手振りで表すと、より一層腹立たしかった。


事の発端は、マネージャーが不動がランニング行くのを見て、お使いを頼んだ。
そこへたまたま鬼道が通りかかり、んじゃオレも行こうと言った。不動は、ケッといいつつ反対はしなかった。
そこへたまたまなのか、佐久間が通りかかり不動の代わりに行くと言い出した。
不動と佐久間が言い争いを始めると、鬼道がそんなに二人とも行きたいなら二人で行ってきたらどうかと提案した。
二人とも嫌な顔をしたが、二人には仲良くなってほしいんだと請う鬼道の瞳には勝てなかった。


というわけで今に至るのである。


「お前兄弟とかいんの?」
不動が佐久間にきいた。

「兄と姉がいるがそれがどうした」
仏頂面で答えた。

「やっぱりな」

「何がおかしい!」
吹き出す不動に苛立ち、ついつい喧嘩腰になってしまった。

「そうピリピリすんなよ。一応チームメイトなんだからよ。下の名前、『次郎』だろ?ひょっとしたら兄弟いんのかなってな。オレいないから羨ましくてよ」

不動が笑いながらそんな話をするとは思わなかった。いつの間にこんなに柔らかくなったのだろうか。以前なら羨ましいとかそんな言葉なく、全てが黒さをまとっていて嫌いだった。今は普通に笑う不動がいる。
驚きと自分の不動に対する言動に少し反省した。

「どうした?早く帰ろうぜ」
足を止めた佐久間に不動が声をかけた。

「あきお…不動明王って名前凄く上手いよな」

「バッ…!いいだろ!別に神さんの名前でもよ!」
不動が顔を手で隠していたが、耳は真っ赤だった。

(下の呼び名には慣れてないんだな)

なんだかその様子が面白くて、声を出して笑うと、不動は笑うんじゃねぇと怒鳴っていた。





20110303




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