365日の嘘【蘭マサ】



※付き合ってます
お題「踊らされるのも楽しい」





 
「夢みたいだ」
と彼は笑う。夢じゃないと何度唇を重ねても同じことを言う。信じてもらうにはどうしたら良いのだろう?自分なりに考えて言葉も重ねてみる。
「好きだ」
「愛してる」
どれも彼は照れくさそうに突っぱねながらも受け止めてくれるから、オレは安心してしまう。彼はオレを好きなんだと信じた。

「霧野センパイは本当にオレが好きだと思っているんですか?」
出会った頃と変わらない嫌悪感をむき出しにしてオレを突き放した。
「じゃあなんでお前は泣いているんだ?そんなに辛そうに泣くんだ」
突き放してもオレはその手を取ろう。狩屋は振り解こうとするが、オレは手を離さなかった。そしてすぐに諦めて、オレの胸に頭を寄せた。
「オレがいなければ……ーー好きだなんて伝えなければもっと別の道があって幸せだったはずですよ」
悔しそうに泣く狩屋の頭を撫でた。彼はオレのために泣く。その事実が愛おしくて、ああ狂ってしまいそうだ。
「あのな、オレはお前が隣にいるから幸せだぞ。だからいいんだ、お前はお前のままで」
オレに嘘をついてもいい。その嘘を何度信じてもいい。お前に振り回されるのだって楽しい。調子に乗るから言わないけど、愛しい気持ちは伝えさせて。
「好きだぞ狩屋」
ぎゅうと抱き締めると、背中に手が回ってきた。
「オレは嫌いですよ、こんなオレを好きなセンパイのこと」




20210620





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