(こ)焦らせ日々を【大人基緑】



※付き合ってる!!!!!
お題「こっちを向いて!」




 
 
勝手に諦めて、勝手に決めつけて、それでよし!と思わないでほしい。
「ヒーロートーー!!」
「ご、ごめんごめん!つい……」
「ついじゃないでしょう!?危うく会社の人に見られそうだったじゃん!!しばらく会社でオレに触るの禁止!てか普通に仕事中触らない!」
帰ってくるや否や正座をさせてヒロトを叱ると流石に落ち込んでいる。こういう姿は他の人には見られたくないし見せたくない。秘書だから……恋人だから出来る事だ。
月日が経って、オレたちは紆余曲折仕事仲間兼恋人同士になった。今はまだ仕事を重視したいが、ヒロトは二人の時間が欲しいなあとたまに溢している。そういえば今朝みた夢が何だか懐かしいものだった気がする。
ぼんやりとしている記憶で覚えているのは、おひさま園かどこかの部屋でヒロトと二人でキスをしていた。それがオレにとっては辛くて、ヒロトもきっとこんなふうにはしたくなかったよなあとあの時思わなかった感想が出てきた。でもヒロトもズルいのだ。オレの気持ちを決めつけて、嘆いてなかったことにする。それが最良だと思ったらしい。そして、オレもそれに従ったのだ。
今はそんな選択させない。
「ヒロト、顔を上げて」
緑川が優しくいうとしょんぼりとした顔を見せた。ああ、眼鏡が邪魔だなあとヒロトの眼鏡を外した。
「緑川?どうしたの」
「ーー今は会社にいないし仕事じゃない。……プライベートだから」
言い訳がましくなるのは許してくれ。
緑川はヒロトの両頬に手を当て唇に触れた。大好きな感触と思いっきりの甘さに溶けていきそうになる。ヒロトもいつの間にか緑川の腕を掴んでいた。
「ヒロトはオレのこと好きでしょ?」
「え、うん?」
「なら仕事しているオレも好きだよね」
「……まあね」
少し照れくさそうに笑う。可愛いなあと思うし誰にも見せたくないし、ずっと二人だけでいたい気持ちも分かるのだ。だけど、二人じゃない時でもオレの好きなヒロトはカッコいいから。それを側で支えたいから。
「……たまにみているだけならいいよ。触るのは駄目だけど」
緑川はヒロトの下唇を指でなぞった。
「それくらい焦れったい日々を過ごそうよ」
いたずらっぽく笑うと抱き寄せられた。その拍子に二人で梅雨で少し湿った床に転がって笑いあったのだ。





20210618





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