祝いの言葉【櫂アイ】VG



※付き合ってます。無印世界線です。






「おめでとう」
彼らしいぶっきらぼうにいう初めて僕の誕生を祝う言葉は心をくすぐって、翌年も慣れないながらも伝えてくれたことがドキドキと心臓を高鳴らせ、その翌々年、その次の年、また次の年……。彼の「おめでとう」はどんどんと温かさが増していった。
想いが伝わって、この時間まで二人でベッドに寝転びながら愛しい夜を過ごす関係にまでなった。
「アイチ」
「なあに?櫂くん」
僕が見つめると何も言わずにそっと唇を重ねてきた。何度重ねても胸が締め付けられるような甘い行為が好きだ。ただ触れるだけのキスで終わると、ああもっとほしいと彼の瞳にねだってしまう。彼の瞳は燃えるように格好良くて、僕はどう見えるかな。
すると、ピコン!とスマートフォンの通知音が聞こえた。

「……アイチ、好きだ。今年もおめでとう」
「ありがとう、櫂くん。僕も大好きだよ」
彼の顔に両手を伸ばし頬に触れて、僕と同じように熱くなっていることを確認する。良かった、今年も側にいられた。
「あ、あのね、櫂くん」
「なんだ?」
「来年も再来年もおめでとうって祝ってね、電話でもメールでもいってね」
今度は僕から唇を重ねると、彼の手は僕の背中へと手を回してキスをしながら強く抱きしめる。彼の瞳の炎は揺らめいて僕をもっと先へと誘う。舌を絡めて僕のいやらしく漏れる声が部屋に響いても、キスは止まらない。気持ち良くて自然と目元が濡れて涙が伝うと、唇が離れた。
「ん、はあはあ……か、櫂くん?」
「ーー毎年祝うさ、必ず。だからそんな寂しそうに言うな。オレは……オレはお前をずっとーーーー」
力強く抱き締めて、耳元で囁かれた言葉で今度は身体が震えた。最初にいってくれた「おめでとう」と同じく気恥ずかしいのかぶっきらぼうな、でもすごくストンと胸の奥底まで落ちていく。
ああ、櫂くんも不安だったね。僕と同じように未来を。だから伝えてくれたんだ。願う未来を掴み取るための最大限のトリガーを。

「愛してる」
 


20210606





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