種明かし【大人照吹】




電話をしていると、トントンとホテルのドアを叩く音がした。急な大きな音に驚いていると鍵を掛け忘れたようでキィとゆっくりと開いていく。心臓がバクバクと鳴って、ベッドから立ち上がったまま動けなかった。
「ーーえ?」
「ごめん、驚かせたね。物音が隣から聞こえてくるタイミングと同じだったから……」
吹雪は電話と相手の顔を見比べてしまった。
「あ、アフロディくんとまさか同じホテルに泊まっていたなんて……」
緊張が溶けてズルズルと足の力が緩んでベッドに倒れ込んだ。アフロディはお邪魔しますと一言いってベッドの近くまで駆け寄ってきた。
吹雪は腕に手を当てて収まらない心臓の音を聴いていた。
「ーー相手チームと同じホテルってありえる?」
「まあ、普通はないよね。多分こちらのチームスタッフのミスだろう。直前でホテル変更になったから」
腕を少しずらしてちらりとアフロディの顔を見た。相変わらず綺麗で好きな顔だなあとため息が出そうだ。
「……そろそろ顔を恋人の僕にも見せてくれない?久々でしょ、こうして会うのは」
「そうだけど、だからこそ心の準備が……」
ぶつぶつと吹雪がいってると、アフロディはくるりと背中を向けた。
「なら準備が出来ているであろう予定通り明日のーー」
「ま、待って!」
バッと飛び起きると同時にアフロディは吹雪の唇にキスをして抱き締めた。
「ーーッ!!」
「顔が間近で見られるのは最高だね」
「……そ、そうだね」
動揺が隠しきれないでいるとアフロディは声を出さずに笑っていた。




20210528





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