隙間【蘭マサ】



※付き合ってます




 
手を取ったときにいつかはつるりと落ちてこちらを向かないで見えなくなってしまうのではないかと眠れない夜もあった。
恋が実るときの一瞬の喜びが時折の不安が続くことになるとは思ってもない。
「狩屋大丈夫だ」
と何度も抱きしめてもらっても不安は残るのだ。センパイもそのことを気にかけてずっと耳障りの良い言葉を語りかけてくれる。
「センパイ、オレは大丈夫ですよ」
頑張って笑って唇に触れてキスをする。その下手なキスにセンパイも応えてオレと変わらないくらい下手だなと思う口づけを交わす。
ちらりと目をそらして部屋のカーテンが少し空いていて、オレンジ色に揺らめく月が顔を覗かせていた。
ーーいつか、センパイを信じられるように。
甘く切ないキスに今夜は寂しくもそれに縋るしかなかったのだった。





20210524





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