甘々の裏返し【いつ純】ド!




仕事と仕事の間、事務所の食堂に行ってみるといつきがいた。
「あ、純哉くん。お疲れ様です」
「おう、お疲れ様。いつきはこの後すぐ仕事?」
「いえ、今日は残りは夕方からです。少し時間が空いたのでここでゆっくりしていたところです」
いつきの目の前には手がつけられていないケーキと珈琲があった。食堂はお昼のみしか注文できないはずなので、買ってきたものか……それか自分で作ったものだろう。よくみてみると、お店のものだと透明フィルムがケーキに巻かれているものが多いが今そこにあるのはそのようなものは見当たらない。
「時間よかったら食べますか?もう一つあるので」
「お、いいのか?へへ、ラッキー!これいつきの手作りだろ?」
純哉は嬉しそうにしていると、いつきも嬉しそうに微笑んですぐ用意しますねと食堂の冷蔵庫へとかけていった。
数分後、トレーにケーキと飲み物が入ったカップを載せていつきが純哉の目の前に置いていく。
「用意させて悪いな、今度またオレのうちに飯食べにきてくれよな。オレも食べさせたい」
いつきが純哉の隣に座るといえいえと優しく微笑んだ。ついつい、その優しい笑顔に甘えてよくないなと思いつつも結局流してしまう。
「じゃあいただきますーー!ーーーーッん!うまい!流石!」
ケーキを一口頬張るといつきと同じように優しい甘さが口いっぱいに広がり、仕事の疲れを吹き飛ばしてくれるようだった。
「えへへ、ありがとうございます。そういってもらえると作った甲斐があります」
もう一口、二口食べてケーキと一緒にともってきた飲み物をゴクリと飲んだ。あれ?と純哉の動きが止まった。
「?純哉くんどうかしましたか?」
「おま、これカフェオレ……」
「え、駄目でしたか?疲れているようにみえたので甘い飲み物の方がいいかなあと……」
いつきの方の飲み物をみると、完全なブラックコーヒーに見える。いつきの気遣いは有り難いが、でもケーキ食べるなら……と言おうとしたが言ったあとのいつきが落ち込んで慌てて取り替えるところを想像してしまった。せっかく用意してくれたのにそんなことは出来ない。
「い、いやありがとう!ほんと疲れているから甘いものが身体に染みるよー!」
「……ホッとしました。良かったです!」
なんとかごまかせて良かったと純哉は胸を撫で下ろしながらも、カロリーヤバそうだなと後々思い返した。



20210519





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