真似っこ【ひいあい】あん☆




 
「ぜーーーったい!許さないんだから!」
「悪かったよ、藍良。空になったペットボトルがそんなに大事なものとは知らなかったんだよ」
「ただのペットボトルじゃなくて!Edenがコラボしたドリンクで!しかも全員が写っているパッケージの!!」
「でもEdenの人たちには寮で会えるよね。写真が欲しいなら僕が頼もうか?」
「そういうことじゃなーーーーい!!!!」
まあまあ落ち着いてと先輩たちはなだめて一彩も謝ってるが、藍良はまだまだ気持ちが収まらない。ユニット練習の休憩時間ももうそろそろ終わるから、こんなことしてちゃ駄目なのにと自分でも嫌になってくる。
「藍良、どうしたら許してくれるかい?」
フーフーと呼吸を落ち着けようとしていて、一彩がきいてくるのでピンと思いついた。
「じゃあ、ラブーいことしてよ……それもめちゃくちゃラブーいことだよ?そしたら許す……」
「ウム!わかった!」
「わ、分かったって……」
本当にわかっているのだろうか?いつもおれがいうと、分かったような顔を全然しないくせに。
「じゃあいくぞ、藍良」
「え、あ、うん?」
一彩は座り込んでいた藍良の1メートル先に背中を向けて立った。何をする気だろうか?と藍良を含め先輩たちも見守っている。
「おいで」
振り返ってウインクしながら可愛らしい手招きをした。
めちゃくちゃラブーいかもしれない。しかし、
「ーー!!そ、それって!」
「どうかな!先日藍良が興奮し真似していたRa*bitsの……」
「ワーーーー!?な、なんでおれが真似してたって知ってるの!部屋に誰もいないことを確認したのに!」
真っ赤になって顔を隠していると、一彩が藍良の目の前にしゃがみこんだ。
「ああ、用があって部屋をノックしてたんだが出なかったので入ったんだ。お邪魔かなと思って声をかけなかったんだ」
「いやそれはもう!声かけて!」
穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。と、一彩が顔を隠していた手を剥がそうとする。
「でも、やっぱあの時の藍良の方が僕より可愛いかな」
「!!ばか!!」



20210511





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