サプライズ【トラシグ】ド!



「「お誕生日おめでとーーーー!」」
パーンと勢いよくクラッカーを鳴らすと赤や黄色の小さな三角が慎の頭にくっついた。びっくりしたまま固まっている慎を放置して、奏と純哉はハッピバースデートゥーユー!と歌い出す。
いや待て待て、ようやく動き出した慎は目の前の状況を頭の中で整理し始めた。
純哉の家で夕食にしようというわけで、奏と共に訪れると玄関先で「あーちょっとまって!少しここで待っててくれる?」と純哉はバタバタと家の中に入ったと思ったら聞いていなかったのか奏もついていってしまった。慎はあれ?と思ってドアを開けようとしたがガチャリと鍵を閉められた。
これはどういうことだろうと名探偵になった気持ちで推理して数分後、ガチャリと鍵が開いた音がした。恐る恐るドアを開けたら……今の展開だ。
「慎?ダイジョーブか?」
純哉が頭についたクラッカーの紙をパッパッと払った。奏もケーキを持ちながら心配そうな顔をしている。
「ああ、すまない。いきなりのサプライズで驚いたが、二人ともありがとう。だがしかし今日は……」
ちょうどよく視界に入ったカレンダーをみて、そうだよなと確認した。
今日は5月9日なのだ。誕生日は先々週に過ぎてしまっている。
「あのね、誕生日当日はどうしても仕事だしみんなと祝うでしょ?でもせっかくならトラシグの3人で祝う日もアリかなーって……。驚かせてごめんね」
奏が頭を下げると、持っていたホールケーキに顔を突っ込みそうになって慎と純哉は一緒に「「あ!!!!」」と声を出した。ケーキはギリギリセーフだった。
「ったく奏はほんと……オレは当日にも会うし祝うしそれでよくね?っていったんだけどな、最近トラシグの仕事がなくて話せる機会がないというからサ……」
「そうだったか、そういえば3人で話す機会がなかったな」
個人の仕事が増えていると仕方ないことだが、話す時間が欲しいと願ってくれることはありがたいことだ。
「純哉くんだって、慎くんとゆっくり話したいって言ってたじゃん!……それでちょうど3人の仕事終わりがあいそうな今日慎くんの誕生日を祝うことにしたんだ」
「要はきっかけのためか?」
「ーーち、ちが……!」
「フフッ冗談だ」 
慎が嬉しそうに微笑むと二人も同じように笑った。





20210429




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