膨れる【天葵】



葵が怒っているのが空気から伝わってくる。
「葵ーー許してよーー」
「いーや!忘れていたのが悪い!」
葵はむうっと頬を膨らませて、椅子に座って体育座りしている。天馬はどうしたものかとうーんうーんと声に出して悩んでいた。
「……どうしたらいい?話し合おうよ」
椅子の前に正座して、葵の手に触れた。その手を払うわけでもないから、話してくれそうでホッとする。
「じゃあ、少しの間このまま手をつないでいて……?」
まだムッとしながらも下から見上げる葵の顔は赤くなっている。
「分かった!いいよ」
笑顔でいうと、葵の口角もわずかに上がったのだ。



20210408





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