ナルシスト、出会う【ミストレとアフロディ】



目が合った。両者は同じことを思った。

「僕(オレ)より劣るけれど美しい…」

タイムスリップの機能がおかしくなったのか、ミストレーネ・カルス、通称ミストレは世宇子中のグランドに出てしまった。
ちょうどその時部活が終わって帰る途中だったアフロディは、グランド上に現れたミストレを見つけた。
軍服により世宇子の者でないのは分かったが、さてどこの者か。学校に出入りする人でもあれくらい綺麗な者だと僕も記憶の片隅に覚えているはずだが…。
「覚えてないとなると…つまり不法侵入者!」

ミストレは明らかに前きた場所でないとすぐ分かった。だが、どこだろうか分からない。あのオレよりは劣る綺麗な女に聞いてみるかと、目が合ったアフロディの方に駆け寄った。
しかし、オレよ(省略)…女はまるで天使が飛んでいるかのようなジャンプをし、どこからか出したボールにエネルギーが集約され、空中に光の矢を放つように蹴った。

「ゴットノウズ!!」

毎日の訓練の賜物だろうか、反射的に素早く避けた。
ボールは先ほどミストレがいた地面に穴を掘る。

それを見たミストレは無言で大阪人並みにアフロディに向かっていく。
「お前なにすんだ!」
ちょっと自分より背が高くて見上げる形が余計癪に障る。
「君は不法侵入者だろうと思ったのだけど…違う?」
アフロディはジロジロとミストレを目で確かめる。
「どう見ても怪しくない美少年だろうが」
「美少年…?どこが?僕より美しくないくせによく言えるね」
アフロディはやれやれと手で自慢のサラサラストレートヘヤーを振りはらう。
「美しくない…だと?」
自分の容姿に関して否定の言葉が向けられるとは誰が想像出来るだろうか。出来ない普通。
「さっきの攻撃といい、今の暴言といい、お前はどれほど乱暴なんだい?それにオレの方がはるかに美しい」
ハンッと鼻で笑い、手を胸に当てた。
今度は逆にアフロディがフッと鼻で笑った。
「それは僕に対する挑戦?」
二人の間に異質な黒い空気が流れ出したとき、またも同時に声をかけられた。
ミストレにはエスカバ、アフロディにはヘラである。

「おい、ミストレ何やってんだ。お前間違ったから迎えにきたぞ」

「アフロディ。何している?」

振り向きざまに双子のように声を合わせ、真剣なまなざしで言った。

「「僕(オレ)と彼(こいつ)どっちが美しい?」」


うわ、でたわ…とエスカバもヘラも頭を抱えた。







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何番煎じネタェ





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