付き合っている
「なあ、三和」
「んー飯できたー?」
櫂の家にきて、いつものソファーの位置に座ってスマートフォンで漫画を読んでいた。キッチンからは様々な音が聞こえており、お腹がグーッと鳴ってしまう。
櫂が料理を運び、ため息しつつも目の前に置いてくれた。
「おーうまそうー!……でさっき何言いかけたの?」
「ーー誕生日おめでとう」
櫂はプイッとそっぽを向いて耳を赤くしながらいった。そういえば、櫂からは言われてなかったなと思い出した。普段からそういった言葉を口にしないから気にしていなかった。三和は嬉しくてつい隣に座る櫂に抱きついた。
「櫂ー!ありがとな!愛してるよー!」
「おま、やめろ!簡単に愛してるなんていうな!」
櫂は剥がそうとするが、三和は更に力を強くして抱きつく。顔が近くにあるなあと唇に触れようとすると手を挟まれて止められた。
「もーいいじゃん!減るもんじゃないんだし!……愛しいから愛してるって言ってんの!」
「ーー!!分かったからーー!飯が冷めるから食べてからにしてくれ」
真っ赤になっている櫂をみて今日はこれで勘弁しようとニヤついた顔のまま離れた。
20210401
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