金色のおはなし



女の子はようやく部屋を見つけてここに住むことにした。
女の子はパッツンでミディアムの黒髪の容姿である。年齢は8才か9才と思われる。僕の見た感覚だと。女の子の詳細は僕には分からない。まだ新入りだからだ。新入りっていうのは女の子を取り囲むお化け達の中での話。
女の子はお化けを呼んじゃう体質で、夜は毎日パーティーなんかしてる。実際のところ女の子もお化けだと思うんだけど、違うみたい。
僕と女の子以外のお化けはゲゲゲのに出てきそうな動く物のお化け。あと小さいまさにおばけ!の幽霊もいる。女の子にとって馴染みのお化けらしい。

女の子はアパートの一室を見つけてから窓を開けた。
ちょうどよく隣の人も開けたらしく女の子が見ると、目が合った。隣の人は男の大学生であった。そいつは女の子を見ると、ニコリと笑った。
バンっと女の子は窓を閉めて顔がリトマス紙みたくだんだん赤くなった。
僕を含めてその場にいたお化け一同、ああ化学反応だーと微笑ましかった。

化学反応があったのは朝で、事件が起きたのはようやく日が山に隠れていった時である。
ある一匹の大きなお化けが隣の部屋に行ってしまった。お化けは不安定なものだから、フワフワと移動する。女の子は責任を感じて、隣の部屋にすり抜けていった。すり抜けてというより、がたがたの空気の襖を開ける感じ。分かりにくいね。
部屋は綺麗に片付けてあり、ピンクのカーテンにキャラクターのぬいぐるみ、中央には、テーブルに女性用化粧品。
女の子は気付いた。途端に慌てて大きなお化けを自分の部屋側へ押していった。僕も手伝った。
ガチャガチャと玄関から音がする。隣の人が帰ってくる!女の子は慌ててお化け達を自分の部屋に呼んだ。見つかってもお化け達は困らないけど、女の子は困るらしい。

朝見た人はこの部屋の主の彼氏で、今その彼氏とこの部屋の主どちらかの両親がテーブルの前に座っている。
女の子の部屋は電気がつかないため、空気の襖の隙間から光が漏れる。僕はそれを頼りに女の子を見つけて、今日もパーティーしようよとせがんだ。

「みんなきてるよ」

両手を広げていつ間にか部屋沢山にいるお化けを示す。
笑い声と暖かな家族の光が女の子の目を離さない。僕は俯き体育座りをして隣に座った。やがて、他のお化けは帰っていった。パーティーしなかったからだと思う。部屋には女の子と僕と馴染みの小さなお化け。いつの間にか窓から朝の気配が感じられ、あの女の子の心を奪った光もなくなっていた。女の子は泣いていた。

「羨ましい。どうして私は一人なの」

はらはらとこぼれるのをただそのままに、僕はどうも出来なかった。
やがて女の子は部屋を出た。残っていたお化け達もついていった。どこに行くかは誰も知らない。ここがどこかも誰も知らない。女の子の正体も誰も知らない。
おやすみなさいと一言女の子は言って、白いアパートの壁によっかかり眠った。
僕も隣でおやすみと眠った。










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いつだったかに見た夢の話。
僕視点が私です。
メモにあったから物語風に書きました。
ファンタジーやホラーというより謎。
タイトルは夢の最後になんかでてきた







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