おやすみのリズム【ひいあい】あん☆





 
寮にあるブックルームで本を読んでいる一彩を見つけた。最近のブームなのかよくこのブックルームにいることが多い。自分の知らない知識を沢山学べるからと本もよく借りている。
「ヒロくん、ねえそれ面白い?」
「ああ!内容は知っているがやはりこうして漫画として読めると面白いよ!」
藍良が覗き込みみてみると、文字が多くてうーんと唸った。同世代の男子は大抵こういったものを読むそうだと一彩は目を輝かせている。
歴史ものであるが今読むかはどうかなあと藍良は思った。それなら、もっと流行りの漫画を読んだ方がいいしおれ自身もおおよそ分かるだろう。
「ふーん……まあヒロくんが楽しんでいるならいいんだけど」
「そういえば、藍良はおれになにか用だったか?」
「用は……ないよ、徹夜で撮りためていた好きなアイドルの番組ばかりみていて、さすがに疲れちゃったから歩いていてヒロくん見つけただけ」
「そうか、というか今はもう昼になるから寝てないのか」
一彩がいうと、ああそっかと自覚した瞬間一気に眠気が押し寄せてきた。今日1日フリーだからと昨日の晩にオタク業に頑張りすぎた。
「んー……そうだね。ねえ肩貸してくれる?」
隣りに座って椅子をくっつけると、肩をおれの方に傾けた。有り難く頭を傾ける。
「眠いなら自室で休んでいた方がいいと思うが……」
一彩は心配そうにいうと、藍良は小さくため息をした。
分かってないなあ、なんでここにきたと思ってるの。
分からない方がいいはずなのに察してほしいなと甘い期待は胸の中で砕け溶けていく。
「ヒロくんもずっと読みっぱなしになるかもしれないから、お昼になったら一緒にご飯食べよーよ」
ぐりぐりと頭を動かしていると頭を撫でられた。
「分かったよ」
そう返事をして、持っていた本のページをぱらりとめくりまた藍良の頭を撫でた。寝かしつけるかのようにトントンと触れて頭のラインに沿って撫でるを繰り返す。
子どもじゃないんだけどなあと思いながら心地よいリズムの中へと落ちていった。




20210324





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