待ってて、すぐそっちにいくから【基緑】



※高卒後に付き合ってるのと遠恋中設定

諦めたくない。頑張っているみんなのためにも。
そんな思いでFFIの決勝まで練習に励んだ。結局はもう一度あの舞台へは叶わなかったが、あの日々が今も尚自分自身を励ましている。
 
「待ってて、すぐそっちにいくから」
緑川が電話越しでいうと、ヒロトからの返事がなかった。
「ヒロト?」
なにかおかしかったかなーと思いながらも手に持っていたペンを回した。手元には参考書、追いつきたいからと始めたことは辛いことがあってもあの頃を思い出して踏ん張っている。ヒロトがいてくれたから出来た夢だ。そしてヒロトがそこにいてくれないと叶わない願い。
「……いつもズルいよね、緑川は」
「へ?なにが?」
心当たりがなくてきょとんとした。
「いや、ううん……格好いいよ本当に緑川は。オレも負けてられないよ」
ヒロトに褒められると嬉しいやら少し恥ずかしいのやらが込み上げてくる。今は別々の場所でそれぞれのすべきことを頑張っているが、きっとその先の未来がほしいからなんだ。他人に用意されるのではなく自分で掴みにいく。
「ただ、ちょっとしんどい時は甘えてもいいんだからね」
優しい声は耳をくすぐらせて胸を温かくさせる。その言葉だけで充分だ。
「それはヒロトも!だからね!」
緑川がわざと怒ったようにいうと、あははとから笑いが聞こえてきたのだった。
週に一度、3分だけの電話は今日も終わる。




20210323




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