ラブソングは誰のために【奏純】ド!



※付き合っている!

ラブソングを口ずさみながら、料理を作っていると遠くからオレを呼ぶ甘ったれた声がする。
「んーなんだー?夕飯ならもう少しで出来るぞ」
ジュウジュウと野菜をフライパンで炒めながら返事をした。すると奏の声が今度は真後ろからきこえてくる。
「純哉くん、今誰を想像してその歌を歌ってた?」
「ハ?……なにそれ?」
火を止めて振り返るとしょんぼりと耳の垂れた犬のような奏がいた。何を言いたいのか大体想像つくがフツーこういう時に歌っていて、誰をと言われたら。
「……お前だよ、これで満足か?」
「うーん、うん。……ありがとう」
奏はそう答えて、リビングへと戻っていった。
思った反応と違っていてオレは少し戸惑った。嬉しがって垂れ下がった尻尾をピンと立てて喜ぶかと思っていた。なんて言ってほしかったんだろうと考えながら、料理を再開した。

「出来上がったぞ」
オレがコトンと奏の目の前に置くと美味しそう!とニコニコとしながらテーブルに並べるのを手伝ってくれた。
良かった、なんでもなさそうかな?
少しほっとしながらセッテイングしていただきますと二人は声を揃えて食事にありついた。
「純哉くんの手料理はいつもサイコーに美味しいね!ほんと大好物だよ!」
「そうか、ありがとな」
オレもお前の美味しそうに食べる姿を見られるのが好きだからとすんなりと言えたらいいが、言えないなあと自分を笑ってしまいそうになる。
「あのね、純哉くん」
「ん、なんだ」
「オレ、純哉くんがオレのこと考えて料理してるのはすごく好きだよ。でもやっぱラブソングや自分たちの曲を歌うときは、ファンのことを想いながら歌う純哉くんの方がいいなって……なんか自分おかしいかも」
あははと下手な笑いをする奏がたまらなく愛おしい。
「そうか、おかしくないよ。お前はオレのこと好きなんだから」
でもこれからもお前を含めてラブソングを歌うよと言いかけて、真っ赤になってる奏の頬にキスをして留めた。 




20210319





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