ただそれだけ【ひいあい】あん☆




「ヒロくんってさ」
藍良が寮へ帰る途中でぽつりと口を開いた。
「愛してるって簡単にいうよね」
「?簡単にいってはいけないのかい?」
一彩は首をかしげるので、あー何も考えずに言ってるんだなあと予想通りで藍良はこれだから野蛮人はと言いそうになった。
藍良の反応に一彩は察したのか、ハッとして首を振る。
「軽くは言っていないよ。言うときは本当にその人を愛しているから愛していると言っているだけだ」
「何度も伝えては迷惑がっている人もいるのに?」
えーとため息をつきながらいうと、一彩は立ち止まった。
「……それは兄さんのことかい?兄さんはああいう人だし、忙しいからさらっと流すまででしっかりと受け止めてもらえてるよ」
「本当に?じゃあさ……おれに対しても仲間として愛してるって言える?」
頬が熱くなる。仲間として、と前置きをつけたのに自分で言ってといいながら恥ずかしい。
「ーー愛してるよ藍良」
静かに言ってくれた愛しているは胸の奥へと落ちていく。ただそう自分にも言ってほしかった、小さなヤキモチだったのに素直なんだなあと顔がほころんだ。
「ありがとう」



20210310




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