目を覚ましたら【照吹照】



 
ゆっくりと目を開けると、隣で照美くんが気持ち良さそうに眠っていた。ああそうか、今日は一緒のベッドで眠っていたのかと寝起きの頭で思い返す。寝顔をじっと見つめながら吹雪は先程みた夢を思い出した。
照美くんが白雪姫で、僕が王子様だったかな。目覚めのキスをすると、毒の呪いが解けて照美くんは目覚めて僕の誘いに乗ってくれる夢だ。
あの夢と同じようにキスをしたら僕の誘いに乗ってくれるかな。吹雪は上体を起こしてそっと唇を近付けていくと、触れるか触れないかの寸前で照美くんはパチリと目を開けた。
「いや、待って。起きてすぐキスはしたくない」
ぐいっと手で顔を押し退けられて、僕はとてもショックを受けた。キスしたくない……そりゃあ起きてすぐの口内の衛生面は良くないと訊くけれど、そんな拒否しなくても……。
吹雪がしょんぼりとしているのをみて、起き上がって照美くんはフフッと笑った。
「……どうして笑うの」
「馬鹿にしたわけじゃないよ、君は僕のこと好きなんだなと可愛くてつい」
「可愛いなら受け止めてよね」
吹雪はそういって照美くんを胸元へと引き寄せ抱き締めた。サラサラの髪が僕の腕に当たる感覚がこそばゆい。ぎゅうと強く抱き締めて離れてから手を繋いでおでこを当てた。
「早く歯磨きしよう?」
ぼそりと言うと、照美くんは手を握り返した。
「そうだね、早く君とキスしたいもんね」



20210307




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