他の人と話さないで【風宮】



※同じ大学生で付き合ってる!設定!



昼食を食べようと食堂へ向かうと、楽しそうな声が聴こえた。
自分と同じようにこの時間の授業がない学生たちだろうかと風丸が目を向けると、そのグループの端に綺麗な髪が揺れる子が見えた。
「宮坂だ」
すると、宮坂の隣にいた男が肩に手を回した。
「ほんと、宮坂は華奢だな!マジで女だったら良かったのに!」
わははと下賎な笑い方をして、宮坂は嫌がる素振りもなくそうですねと笑っている。みんなに笑顔を向ける宮坂をみて、風丸は声をかけようとした手を下ろした。
オレ以外にも仲いい人はいるよな、そりゃあ……。
そう納得しながら、早足になって食堂を出て、スマートフォンで宮坂へ連絡する。
《今から会えないか?》
すると、すぐに返事がきた。
《大丈夫です!どこにいますか?》
空いている教室を伝えるとすぐ行きますと返ってくる。

「風丸さん?いますか?」
ゆっくりと教室の扉を開けて入ってきた。
「宮坂」
「わっ!?ビックリした!もー背後に立たないでくださいよー!」
宮坂の後ろにニコニコしている風丸が立っていた。ニコニコとしていながらも、いつもと雰囲気が違う。
「さっき、オレがいたの知っていただろう?」
「なんのことですか?」
宮坂は分からないという顔をする。違うだろ、宮坂。分からないわけがない。
「オレがいたのに、あんな男と仲良く話していたなんて」
風丸は宮坂の手を握った。その手に力が入る。宮坂はああそれかと気付いたようだ。
「ただのゼミの先輩ですよ。ちょっと馴れ馴れしいですが、別に悪い人じゃ……」
と、風丸が宮坂の口を唇で塞いだ。
「んっ……風丸さん?」
「怒るよ、宮坂。オレがいるってお前が気付かないわけがないだろう。オレのことをあの頃からずっと見てきているんだから」
不安そうな表情を浮かべて、宮坂から視線を落とした。宮坂がそんな風丸の頬に触れる。
「ふふっ、そうやって僕のことを考えてくれて嬉しいですよ」
ようやくたどり着いた幸せな未来だと宮坂は微笑んだ。




20210301




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