いつまでもこうして【奏純】ド!



「純哉くん!」
と汗だくのまま抱きついてきた。途端に黄色い歓声がステージの向こうから上がった。
「おまえ!……あーもー!!」
仕方ないなと背中をバシィ!と叩くと、痛い!と言って手を離した。
「なんで叩くんだよー!」
「ばーか!ほら次の曲のタイトルコールいくぞ!」
前を向いて二人同時に次の曲名を叫ぶと、大きな歓声とペンライトが赤と黄色に染まっていった。
 
 
***
打ち上げも終わり、二人は隣に歩いて帰っていく。 
「今日もサイコー超えてたね!」
「あったりまえだろ!……まあ二人だけのステージはあんまりないからファンのみんなはついてきてくれるかちょっと不安だったがな」
純哉がそういうと、奏がエーッと腕に抱きつく。
「オレは純哉くんと一緒なら全然不安なかったけど……」
純哉は抱きついてきた腕を剥がして、ため息した。
「お前さ、ライブ中もだけどテンション高くなって抱きついてくるなよ。困るから」
「困る?なにが?」
奏は純哉の腕に再び抱きつき、手を絡める。
もうわざとだろ、それ。純哉がみると奏は本当に分からないみたいな顔をしてズルすぎる。チラッと回りをみて、持っていた帽子のつばに手を掛けた。
「……したくなるだろ」
サッと風が吹いて、奏の結んだ髪が靡いた。合わせた唇が離れると奏は驚いた顔をした。当たり前かと絡めてきた手を握り返すと、奏は下を向いた。
「ーーそうだね、ごめん。でも、やっぱり抱きつきたいよ」
と純哉の頬にキスをした。

 

20210226




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