それは本当に?【ひいあい】あん☆




「好きだ藍良」
と囁きながらおれの顔や胸、腕はお腹にキスをしていく。ゆっくりとまるで食べる前の獲物に自分の物だとしっかり認識させていくようだ。
「んっ……ヒロくん」
添えられた手が冷たくて触れる度にビクビクと身体が震える。そんなことをしなくてもいいから早く食べてしまえばいいのにと思いながらも、真剣な表情で愛撫していくからそんなことも言えなかった。
「ねえ、ヒロく……おれもヒロくんのこと好きだよ?」
そういってヒロくんの頭を優しく撫でるとポツンと涙がお腹の上を転がっていった。
「え?!な、なんで!?」
慌てて上体を起こそうとするが、ヒロくんは藍良の身体に抱きついた。
「大丈夫。ちょっと驚いただけだから、続きをさせて。お願いだ」
「そ、そう……」
と再び元の体勢に戻ると唇を合わせてきた。クチュと音が鳴る。泣いてないよなとチラリとみるがひどく安心した顔をしてキスをしている。何がそんなに不安なのだろう。おれの方がもっと不安定な面があるのに。
唇を割って舌を絡めると、ヒロくんはちょっと驚きながらもそれに答えた。回数を重ねる度に気持ちがよいキスが出来るようになったなあと溶けていきそうな心地よさに溺れそうだった。
「藍良」
「なあに、ヒロくん」
「今、幸せかい」
「え、そりゃあ……。じゃなきゃこんなキスが出来ないでしょ」
どういうこと?と思いつつ答えるとヒロくんは微笑んだ。
「よかった、君を幸せにできて」
そういって抱き締めたが、その力は少し痛く感じた。




20210220




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