いつか【ひいあい】あん☆



「あ!みてみて!fineだ!」
藍良に言われて街角のスクリーンをみると、fineの人たちが前に撮影していたといっていた映画のPRしている。
藍良は立ち止まってそれはそれはキラキラとした瞳でモニターを見つめている。きっと藍良のことだから、見たことある映像だというのにテンションが高く満面の笑みだ。
「……藍良はさ、」
PRシーンの終わりかけで、藍良の人差し指をちょんと掴んだ。
「ん?なーに?」
ニコニコとしながら一彩の方をみる。
「アイドルしている僕のこと好き?」
一彩がきくと、藍良は一瞬固まって、それからどんどんと顔が赤くなっていく。
「な、な、な」
「?藍良、大丈夫か?熱でもあるのか?」
人差し指を離して、熱があるか確かめるために藍良の顔を触ろうと手を伸ばすと、その手を取られズンズンと人混みの中を歩いていく。
「ちょ、藍良。どこにーー」
人混みを抜けて、広い公園の入り口へとたどり着いた。一彩は分かってないようで、藍良はようやく手を離した。
「もう!なんであんな人が沢山いるところでいうの!………すきとか!」
「?好きといってはいけないのだろうか?そんなルールはきいたことないが」
フム?と考え出そうとする一彩に違う違う!と藍良は怒りながら首を振った。
「そうじゃなくて……!うーんと、アイドルしているヒロくんは勿論好きだよ。アイドルオタクだから、ヒロくんの良さを見つける度にいいなって……とそうじゃなく……」
うまく自分の感情を整理して伝えるのが下手な藍良はゆっくりと話していく。一彩も急がせずに黙ってきいた。
「ヒロくんはおれがfineのこと大ファンなの知っているでしょ?ああいう大きい街のモニターに映るとたまらなく興奮しちゃうわけで……えーーーーと、ヒロくんはその、ヤキモチやいたの?」
ヤキモチ?と一彩は自分が知っているヤキモチの意味を思い出す。
「僕は嫉妬しているわけじゃないよ」
「そうなの?じゃあ……どうしてきいたの?」
藍良も分からなくなってきたようで先程の一彩と同じようにはてなマークを浮かべている。
好きかどうかきいたのは。
「僕らもアイドルで、藍良のキラキラした瞳に自分たちのユニットも同じように映したいなと思って……。同じアイドルならそう思わないかなと」
「……」
藍良は黙っている。一彩はもう一度、人差し指に触れた。
「藍良はアイドル好きだよね」
「うん」
「ALKALOIDも?」
「!!勿論!大好き!」
そっかーと指をぎゅうと握る。藍良が大好きなら、尚更fineのように活躍しなければ。
一彩の気持ちをようやく分かったのか藍良は一彩の触れた手を握り返した。
「いつか、おれたちもなろうね」



20210211




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