友だちがいい【基緑】



※大学生基山と緑川の話です。



「緑川はさ、来世でも恋人になってくれる?」
「なにその急なロマンチストワード」
「今日、大学でさ、仲いい友達が『来世でも貴方の恋人がいいな』って彼女から言われて『そうだね』って答えたらしいんだけど、答え方が悪かったのか彼女の機嫌損ねたらしく落ち込んでてさ……」
ヒロトはガラガラと窓を開けて、ベランダへと出た。都会で一人暮らしを始めてから、緑川と定期的に連絡を取っている。本当は毎日でも電話したいところだが、勤勉な緑川はそれを許さなかった。恋人同士なんだからもう少し甘えてもいいのではと思うのだが、どうやら緑川自身は今はそうしたくないらしい。
冷たい風が熱くなりそうな心を落ち着かせてくれる。本当は独占したいし、今あるしがらみを無視してでも一緒に暮らしたい。
だが、緑川がそれを望まない。ならオレは望んでもらえるようになるだけだ。
大学の友達の話をきいていて、緑川ならどう答えるのだろうか?と少し気になった。来世でも恋人になってくれるだろうか。
「へえ……オレはヒロトのこと、来世でも恋人っていうより友だちになってほしいな」
ドキンと心臓が跳ねた。恋人ではなく?友だちがいい?加速する心臓の鼓動に電話を持つ手も僅かに揺れる。
「あっ誤解しないでよ!?恋人が嫌じゃなくてさ、幼い頃にヒロトに出会って仲良くなれたことが本当に嬉しい出来事でさ……なんか恥ずかしいなこれいうの」
そういう緑川の声がちょっと萎む。ああ、絶対今可愛い顔している。みたかったなとヒロトは自分の動揺を気付かれないように落ち着いた声で大丈夫だよと答えた。
「……よかった。あのね、恋人はまだまだ始まったばかりだからさ、来世のことより今もっと楽しみたいんだ」
「ーー本当に緑川は電話越しにも可愛いこというよね。キスしたくなってしまう」
困った風にヒロトがいうと、えっ今可愛いこといった?!と慌てた声が聞こえて思わず笑った。




20210206




prev next








×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -