温かい?【蘭マサ】



「手が冷たい人は心が温かいって本当なんですかね?」
部活帰りに狩屋が手を擦り合わせて言った。隣を歩く霧野はほら、と手を差し出した。
「手が冷たいんだろう。オレは手袋しているから」
別段なんとも思ってないように手を差し出したので、本当になに考えているのだろうとじっとその手をみて考えてしまう。
「センパイってそんな簡単に人と手を繋ぐんですか?」
「え、んーー時と場合によるかな。今は狩屋がずっと寒そうだなと思っていたところだったし。というかオレとは手を繋ぎたくないのか」
「いやそうじゃなくて……分かりました。じゃあこれをとって繋ぎましょう」
狩屋は差し出された手にはめていた手袋をスルッと取ってから手を繋いだ。
「うっ寒い!?」
「あはは、センパイ、手が温かいですね!心が冷たいんですか?」
ニヤニヤと笑うとムッと怒った顔をする。ああ、変な優しさより怒ってくれた方がなんだか安心する。冷たかった手はどんどん霧野の温度によって温かくなっていく。
「冷たいと思うのか?」
霧野は狩屋と繋いでいる手を顔まで上げて、そこから指を絡ませた。これは所謂……とだんだん赤くなる狩屋の顔をみて、今度は霧野はいたずら顔になった。
「オレは手袋をとってお前と手を繋いでオレの体温を分けたのに?」
そう問われてムウと顔を背けた。
「温かいですよ!センパイは!」 



20210204




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