夕飯の片付けがようやく終わり、部屋に戻ろうと二階に上がった時、ばったり円堂君にあった。持ち物からすると、今からお風呂に行くようだ。
「今からお風呂?」
冬花がきいた。
「うん」
ふと円堂は冬花の手を掴んだ。
「…守くん?」
「赤いからどうしたんだろうと思ったらびっくりした、冷たいなフユッペの手」
「今洗い物していたからかな?途中で水しか出なくなっちゃって」
多分お風呂にみんな入り始めたからだと思う。そうすると、たまに水が出てしまう。
「そうか、ごめんな。こんなふうになるくらい頑張ってくれてさ。ありがとう」
円堂が冬花の手を両手で包み、少しでも暖かくしようとしてくれている。
嬉しい反面恥ずかしい。無言のまま数十秒やられて冬花は降参した。
「もういいよ、守くん。守くんだって毎日頑張ってるのだし、これくらい平気だよ。早くしないとお風呂の時間終わっちゃうよ」
「あ、そうだった!」
円堂はバタバタと一階へと階段を下っていった。
冬花は手を頬に当てた。ひんやりとして気持ちが良かった。
20110210
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