頑張った【ひいあい】あん☆



 
「ムムムムリだよーーーー!!!」
藍良は手を引く一彩の手を剥がそうとするが、力じゃ全く歯が立たない。
「友が嫌がることはしたくないが……」
と一彩はボソリというと藍良に睨まれた。なんというかとても理不尽だ。一彩は藍良の腕をグッと掴んでズルズルと引きずっていく。
「大丈夫だよ、藍良。安全なものだよ」
「それでも高いものは怖いーーー!!」
とここで、はいオッケーです!と声がかかる。ハァと二人は息を吐いて胸を撫で下ろした。
「ありきたりな罰ゲームだけど、しっかりリアクションとれてよかった。ありがとう、ヒロくん」
「あんな感じでよかったのか?」
「大丈夫じゃないかな?あーでも本当に怖い!バンジージャンプも怖いけど!しっかり落ちたときのリアクションとれるかな!?」
藍良はそっと吊り橋から谷底を覗いた。一彩は故郷に近い環境で別に怖くないため、リアクションが取りにくいとというわけで藍良と一緒に飛ぶことになった。
アイドルとはこういう野外の仕事もするんだなあと一彩は感心したが、藍良にとても怒られた。それからここに来るまでの道のりでどういう反応、リアクションが求められているかを説明された。おおよそは理解できたが、うまくリアクション出来るかは分からなかった。そこで、藍良がとてもビビリで一彩が引っ張っていくという構図で押していこう!となった。
「藍良は本当に怖いんだね」
スタッフが二人の身体にカチカチと安全装置を取り付けていく。
「フツーは怖いの!平然とした顔でピョンと飛びそうな野蛮人とは違うの!うー逆になんで怖くないの」
慣れているからだと思うが、どうしてかなんて考えてたことなかった。フムと考え込もうとすると、じゃあそろそろいきますよー!と声がかかった。
「藍良」
「なに!?こ、こんなときに!?」
ブルブルと足が震えている藍良の手を取った。ああそうだ、思い出した。怖いと思った時は兄さんがこうしてくれたのだ。
「大丈夫だよ」
「なにが!?」
一彩は藍良の両手を取ってぎゅうと握った。真剣な表情で見つめられて藍良はドキリとした。
「一緒に飛ぶんだから怖くないよ」
「……は?」
唖然とした顔のまま、ゴー!と言われて二人は谷底へとダイブしていった。



20210126




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