スタート【牙ノボ】BF



元日が誕生日ということは知っているが、なにかしようとは思わなかった。家族を大事にする牙王なら家族と大切な日を過ごしてほしいし、オレも簡単に牙王に会えるわけではない。
ノボルは冬休み明けでよいかと、暇になって街をブラブラ歩いているといつものカードショップが賑やかだった。
「なにをやっているんだ……?」
ノボルが覗き込むと、なにやら複数人がバディファイトをしている。
「君も参加するかい?」
と店員から渡されたのは《新春!バディファイト初め!》と大きく手書きで書かれたチラシだった。参加者は誰でもOKの総当たり戦、10連勝を最も早く達成した者には豪華商品をプレゼントするそうだ。
「ふぅん……。今誰が一番勝っているの?」
ノボルが店員に訊くと、店員は奥で行われていたファイトを指差した。
「あっちの威勢の良い子だよ」
指差した方向には見覚えのある顔がいた。
「……オレも参加します」
そこにはアイツがいた。いたからには勝ちたい。
ノボルはデッキを取り出して、エントリー用紙に名前を書いた。

 
***
 
「次の対戦相手はーーーってあれ?!ノボル!!」
「ったくようやく気付いたのかよ」
牙王が驚いていると、ノボルはハーッと大きなため息が出た。
「アメリカの方にいるかと思って……!?って次はノボルと対戦なのか!」
「こっちで年越しはしたかったからな……。というかお前はこの対戦の意味分かってる?」
ノボルがひらひらと持っている紙をみせると、牙王が目を凝らしたあと閃いたようにあっ!と大きな声を出した。
「ーー分かったみたいだな。この勝負でどちらかが10連勝だ。つまり優勝が決まる」
追いつくのが大変だったがなんとか間に合って良かったと内心ノボルはホッとした。今日、最後にコイツと勝負するのはオレだ。誰にも譲りたくない。
「そっか!そりゃあ楽しみだな!」
えへへと笑う牙王はまるで勝っても負けても別にいいみたいで、カチンとくるがオレはいつだって負けたくないのだ。
「お前が今日誕生日だろうと容赦はしないからな!」
「……覚えていてくれたんだな!ありがとう!勿論全力でいくぜ!」
牙王の無邪気な笑顔にノボルは口角が上がった。素直で羨ましい限りだと胸をギュッとなる。今年の初めから牙王とファイト出来るのは正直嬉しかったし、そのためにここまで勝ち上がった。
二人は高らかに開始の声を上げた、
 

「「バディーーファイト!!オープン・ザ・フラッグ!」」 


20210101





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