からばこ 1



空っぽになった靴箱を見る。今日は休みなんだと一人納得して自分の靴箱から、上履きを取り出し下に落として、そこから普段通り過ごした。

私の気持ちはそのままどこかへいった。昨日の一件から全てがぼやけて見える。友達が言葉をかけて、それを拭おうとしても、ガラスは綺麗ならないのと同じだった。

「いつまでそうしているつもりだい?」
帰ろうと靴箱から靴を入れているところに、誰かに肩を叩かれた。
誰だよ。こいつ。顔に面識はない。
「昨日のアレ、見ちゃったんだよね」
靴箱によっかかって私の行く手を塞ぎ、ニヤニヤ顔でそいつは言った。
「誰ですか、あなたは。私もう行くのでそこを退いてください」
「嫌だね」
そいつを避けて行こうとするが、右へ行こうとすると右へ左へ行こうとすると左へ動く。
私のことなんて構わないで欲しい。

昨日、付き合っていた彼氏に浮気される現場を見てしまった。私は身体中の穴がバーッと開き、火山が噴火しそうな感じというのが今までは分からなかったがその時初めて分かった。その勢いのまま奴の顔を殴り、隣で悲鳴をあげている女を睨み付けて「死ね」と吐いてその場を去った。
友達に無理矢理付き合ってもらってマックで顔が涙や鼻水でグシャグシャになりながら、無言でハンバーガーを四つ平らげた。
友達はその時の様子の感想について、「あれは儀式か何かだと思った」と述べている。友達が明日涙で腫れない方法を教えてくれたので、今日はどうにか学校には来れたが、感情は昨日の逆方向に一気に落ちた。なんでこんなことになったんだろう、私の何がいけなかった?と自問して自己嫌悪に浸っていった。

「あの、本当に邪魔なんですけど」
私がキッと睨むとそいつは言った。
「俺、あいつのこと嫌いなんだよね」
あいつとは別れた彼氏のことだろう。だからどうしたと思っていると、
「だからさ、お前があいつを右ストレートで殴った時こっちまでスカッとした気分になってよう…」
やつは右手で再現しながら、嬉しそうに語った。
「だからさ、ありがとな!それがいいたくてさ」
「私には全然嬉しくも何ともない!!」
ニカッと笑って感謝されても馬鹿にしてるしか思えない。
だから何なの!?意味分かんない!とやつを押しのけて校舎を出た。

「おい待てよ!」
と後ろから声がするがそんなことはどうでもよかった。







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長くなった。続けられるかな





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