君に溶けて宝石は輝く【大人照吹照】



※同棲ぽいことしてる付き合ってるぽい



 
雪が沢山降った日には思い出す。
「元気だろうか」
冷たい窓に触れながら携帯電話を操作する。パシャリとした音と共に撮れたのは自分の手と外の風景だ。短い文章を添えて送信した。
数秒後、ピロリンと音がしてビクッと身体が跳ねた。自分の携帯電話からじゃなく後ろから音がしたからだ。振り返るとニコニコとしている吹雪が壁にもたれていた。
「やあ、久しぶり」
「……毎度お馴染みの挨拶だね。驚いたよ、今日は雷門の仲間たちとお祝いじゃなかったっけ」
照美は顔を下に向けてフッと息を吐いた。しまった、にやけてしまう。嬉しくてすぐに顔を戻せない。
吹雪は照美の変化に気付かないようでそのままソファーと座った。
「うーんと、抜けてきた」
「どうしてだい?楽しくなかったのかい?」
照美はようやくにやけた顔から元に戻って、吹雪の隣に座った。
「楽しかったさ、もちろん。ただ、やっぱりさ、今日のうちに君に会っておきたくて」
「……会えるか分からないし、ここに来ることすら出来るか難しいと僕は答えただろう?」
「でも、君はここにいた。ちゃんと来ていたし、テーブルにはケーキの箱がある」
「…………」
付き合っているのか付き合ってないのか分からない関係をずっと続けてきた。お互いにそれが良かったし、会えるときに会えればと思っていた。ただ今日は会いたかったのだ。直接誕生日おめでとうと伝えたかった。
照美は最初からここに来るつもりだったが、吹雪は人気者だから誕生日は必ず他の人との約束があるだろう。僕はそれを優先してほしいと考えていた。
「何故来たんだい」
照美はゆっくりと口を開いた。吹雪は照美の方に身体を傾けた。
「会いたかったから、それだけじゃダメかい?」
駄目ではない。駄目ではないけれど、それでいいのかと問いただしたくなる。本当にしたらこの関係が壊れるかもと思ってしまって、口には出せないが。
照美が再び黙っていると、吹雪はケーキの箱に手を伸ばした。
ゆっくりと開けると、小さなホールケーキが入っていた。真っ白なスフレケーキに上にはアメ細工で出来たドームが乗っている。
「君らしいケーキだね」
「いや、君のイメージで選んだケーキだよ」
照美はぼそりと言った。
「ねえ一緒に食べようよ、日付が変わらないうちに」
吹雪が照美の肩を揺らした。揺らされたおかげで、思わず顔がほころぶ。照美はようやく吹雪の瞳をみることが出来たのだが、
その瞳は綺麗だった。照美がそっと吹雪の頬に触れる。
「……先にこっちを頂こうかな」
照美がそういうと、僕が先だよと吹雪から唇に触れた。外から来てまだ冷たい感触と、自分の温かい感触が混ざって心地よい。
「甘いキスも早くしようね」
と、吹雪は照美の唇をなぞった。




20201222




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