座右の銘【基山と緑川】



※エイリア事件前の中学一年生

今時、こうして今年の目標なんてものを貼るのはちょっと時代遅れじゃないだろうか。廊下に張り出されていたのは、自分のプロフィールのようなものだ。中学に入ってのGW明けには貼られていた。
「緑川のはこれだね」
「……オレのはみなくても良くない?全部知ってるだろ」
ヒロトが緑川が書いたものをふむふむと眺めた。
「いや、知らないこともあるよ」
ヒロトは指を示したのは、“今年の目標または座右の銘”のところだ。オレは【今年の座右の銘は、百聞は一見に如かず】と書いた。
「緑川は面白いよね。どちらかで良かったのにどっちの要素も含んで答えている」
そうかなーと緑川は少し照れた。一応褒められたようで、素直に嬉しい。
「ヒロトは何て書いたの?」
緑川がきくと、ヒロトは自分の書いたものがある場所を指差した。緑川のものと少し離れていたので、数歩歩いて顔を上へと向けて、ああと納得した。
「ヒロトは本当に父さんのことが好きだよねー」
緑川は頭の後ろで手を組んで明るく言った。
「皆好きだろ、父さんのことは」
ヒロトはニコニコと笑う。
キンコーンとチャイムがなって、そそくさと教室に二人は戻った。
 
【父さんの役に立つことをする】

ヒロトには本当にそれしかないんだなと緑川は前に座るヒロトをみて思ったのだった。


20201221




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