「君がやりたいといったから」
と差し出されたのはとても愛らしい紺のセーラー服だ。吹雪はひきつった顔をしていた。
「アフロディくんは似合うけれどさ」
そんな堂々としていられるのが不思議なくらいだし、当たり前かのように白のブレザー姿が似合っている。一体どこで手に入れたのだろう。
「……まあ髪が長いからね」
注目する点はそこじゃない。吹雪は心の中で突っ込みつつも、はあとため息が出た。こうなってしまったのはアフロディのいった通り確かに自分が悪い。観念してセーラー服を受け取った。
「似合わなくても笑わないでね」
「似合うさ、きっと」
フフッと笑って髪をさらっと流す仕草はあまりにも絵になる。そんな絵のような人の言うことなんか信用ならないなと思いつつ、とりあえず着替えることにした。
10分後、吹雪はセーラー服に着てアフロディの前に現れた。ドキドキしながらどう?ときくとアフロディはゆっくりと吹雪を抱き締めた。
「……さすがスノーエンジェルという必殺技を使えるだけある」
「それ、この格好と関係ある?」
吹雪が笑うとアフロディは吹雪の頬に手を添えた。
「あるとも。君が可愛くて素敵だから」
20201220
prev next