佐久間の休日【佐久春】






「あれ?佐久間先輩?」
暇でそこら辺をぶらぶらしていた佐久間に春菜が声をかけた。
春菜は黄緑色のワンピースにコートを羽織りマフラーを巻いていて、少しいつもと違う大人な感じだ。
「音無か。随分綺麗な格好しているな。これからデートか?」
佐久間が聞くと音無は赤くなってそんなんじゃありません!と首を振った。
「私はちょっと駅前に買い物を…佐久間先輩こそこんなところで何やってるんですか?」
「俺は暇でただぶらぶらしていただけだ」
「え!暇なんですか!」
と春菜はグイッと佐久間に近寄る。
「ああ…」
「じゃあ、私の買い物に付き合ってくれませんか!お兄ちゃんの誕生日プレゼント買いに行くんですけど、まだ何買うか決まってなくて…」

ああそういえばそろそろ鬼道の誕生日か…と思っていると、春菜が佐久間の手を掴んでさあ!行きましょうと引っ張る。
「あ、おいちょっと待てって…」
いきなり手を掴まれて佐久間は動揺した。



そのまま駅前の大きなデパートにきた。


「…そろそろ離してくれないか」えっと春菜がポカンとしたので掴まれている右手を指さした。

「きゃっ!ご、ごめんなさい!!」
春菜はバッと手を放し謝った。
「あのー…怒ってます?」
「少しな」
「本当ごめんなさい…」
ションボリした春菜を見るとこちらに罪悪感がある。
「もういいよ、じゃあさっさと鬼道のプレゼント見つけようか?」
「え!一緒に探してくれるんですか!?」
「せっかくここまで連れてこられたんだしな」
やったーと満面の笑みに春菜はなった。凄く可愛い。
(全く、ころころと表情が変わるなあ)
佐久間はウキウキと歩く春菜を追いかけた。



ようやく鬼道へのプレゼントが決まり、それを買ってデパートを出た。

「今日は本当にありがとうございました〜」
と春菜は深々とおじぎをした。
佐久間はちょっと驚きつつ、大したことじゃないと言った。
「そんなことないです。一人じゃもっと時間がかかったろうし、それに…とっても楽しかったです!」

「お前、本当面白いな」
フッと笑って佐久間が言った。
「えー何がですか?」

「表情はコロコロ変わって面白いし、可愛い」


そう佐久間が言うと、春菜が黙った。
何か変なこと言っただろうかと後ろを歩いている春菜を見た。
少し赤くなっていた。
ちょうど夕日に照らされて赤くなったのかそれとも…。「佐久間先輩ってタラシなんですか?」
春菜がうつむいて尋ねた。

「はあ!?どこがだよ!?」
佐久間はびっくりして春菜をじっと見る。


「分からないならいいですよー。じゃあ、私はこれで。今日は本当にありがとうございました」
ペコッとお辞儀して走っていった。


佐久間は考えながら、可愛かった春菜の笑顔を思い出して、顔が赤くなった。







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