決め方【アレス照美と基山】



「基山タツヤくん」
「タツヤでいいですよ」
そういってタツヤはお冷を口に含んだ。アフロディはメニューを真剣な表情で見つめている。タツヤは日本代表の時でもポジションの違いもあってかあまりアフロディとは話さなかったので、こうして二人で食事というのも初めてだった。
緑川とショッピングにきていたら偶然会い、少し話をしないかと誘ったら喜んでと誘いにのってくれた。だが、たまたま行っていたとある作家のトークショーに緑川が食いついて、それが終わるまで二人で食事しながら待つということになった。
タツヤはメニューをみて熟考しているアフロディにハッとした。
「……もしかして、ファミレスとかきたことですか?」
「いや、さすがに僕だってチームの祝賀会や反省会などできたことがあるよ」
アフロディは笑って首を振ってまたメニューに食らいついている。
来たことがあるのにまるで初めてのようにみえる。タツヤは変だなと思った。どこのファミレスでも似たようなメニューだろう。
「あーじゃあ決まりましたか?とりあえずオレはドリンクバーを頼みますが」
「ドリンクバーを頼む……?」
クエスチョンマークがアフロディの頭に浮かんだ。
「そうです、アフロディさん。やっぱり来たことが……」
「それはある……あるが、注文は周りに全部任せてたんだ」
きくといつもはチームメイトたちが気を利かせて注文していて、まじまじとメニューをみるのはこれが初めてだそうだ。
本当にそういう人がいるんだなと思うと同時に少し緊張がほぐれた。昨年のFFでの記憶でとっつきにくいイメージがあったが、試合をはなれて話すと意外と……。
「なんだかお茶目ですね」
「そうかい?あ、僕はこの定食セットにするよ。ど、ドリンクバー付きで」
覚えたての言葉を使っているようだ。タツヤはオレも同じものにしようとニコニコと笑った。



20201205




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