その場限り【ひいあい】あん☆



※寮の構造捏造あります。
 
 オフィスでの盛大なお誕生日会が終わって、寮でも沢山祝われて、お風呂に入りようやく藍良が一息をついた。
本当に沢山の人が祝ってくれた。ずっと幸せで生きてて良かったと今日一日だけで何度思ったことだろう。
「藍良、」
「え、あっヒロくん?!」
バシャバシャとバスタブの音を立てて、扉をみるとぼんやりと人のシルエットがあった。
「すまない、入浴中に。そのままでいいからきいてくれ」
バスタブから出ようとしていた藍良は、ヒロくんがいいならとまたバスタブに浸かった。
「藍良は今日、楽しかったか?」
「みてて分かんなかったの?」
「分かる、すごく楽しそうにしてとても目がキラキラしていた」
「はー今思い返しても夢のような日だったよ。こんな誕生日今まで過ごしたことなかった」
いいながらフーッと声高く息を吐いた。収まっていたフワフワとした気持ちがまた心を侵食していく。
「そっか、良かった。藍良が幸せなら僕も幸せだな」
一彩は頭をコツンと扉にぶつけた。
「ヒロくん?」
変な様子だなと不信にパシャンと音を立てて扉の方を向いた。
「藍良が祝われてる間、ずっと僕も嬉しかった。……嬉しかったはずなのにどこかモヤモヤしていたんだ。もっと笑ってほしい、僕の方をみて……なんだかそう思えてしまって」
ドクンとした心臓の音が波を打った。
細かく揺れるそれは、それはーーーーーー。
「でも気のせいだよな!だって藍良が楽しい!って言ってるんだから!藍良、ありがとう!話せて良かったよ!入浴中に申し訳なかった!」
じゃあと一彩はすっきりしたかのようにそう告げるとさっさとお風呂場を出た。
「えーー……」
と藍良はブクブクと湯に深く浸かった。
さっきよりお湯が熱く感じるのは、これも気のせいかなとブクンとお湯に潜ったのだった。






藍良お誕生日おめでとう!
20201127




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