吹照
息が吸いにくいことも気づかずに泳いでいたらしい。
吹雪くんが手を引っ張ってくれるまで、気づかなかった。
泣いた。大きな声で泣いた。
僕は知りたかった。どうして自分はここにいるかを。
嘘でもよかった。
僕より背の低い君が大きく見える。
僕の背中をトントンと優しく叩いた。
「君の居場所はここだよ」
ずっと子どもらしくなりたかった。羨ましかったんだ。
僕は僕でならないことが辛いなんて言えなくて、こうじゃなくっちゃと押し付けられて動かされるのを息が出来なくなって…。
「ゆっくりでいいよ。一緒に吐き出そう」
僕らはここにいる。
君に出会えてよかった。
20201014
過去の拍手文でした。
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