しめてほしい【照吹】



※学パロ設定です。同じ学校でゆるく付き合ってるよ


 
 カラカラと軽い音で引き戸が開いた。怪我した足を引きずりながら、保健室に入ったが誰もいなかった。
 「先生は留守かな」
 吹雪は仕方ないと薬が入っていそうな戸棚を探していると、トントンと肩を叩かれ、振り向く前に耳元で囁かれる。
 「吹雪くん」
 「えっ、うわああ!!」
 びっくりして思わずバランスを崩して床に倒れる!と咄嗟に手を前に出すとその手は床につくことなく空中でブラブラと揺れた。
 「ーーっと、危ない危ない」
 腰にがっちり手を回して吹雪を支えた正体は、そのまま吹雪を持ち上げて近くのベッドへと座らせた。
 「照美くん」
 ニコニコと笑う彼になんだか悔しくてたまらない。自分の身体が小さいことを見せつけられた気がしてしまったからだ。
 「吹雪くんもどこか怪我したのかい?それはどこ?」
 そんな小さな悔しさは露知らず照美は隣に座って話しかける。
 「ここだよ、君のせいで痛くてたまらない」
 と、吹雪は自分の胸を指す。
 学年一のモテ男と言われてるのにこれじゃなんだか嫌だと対抗してみた。
 「それじゃあ、僕がいいお薬をあげよう」
 照美は吹雪の手を取り、手の甲に軽くキスをした。
 「それだけ?」
 と言おうとした矢先に照美は今キスした部分をペロリと舐めて、そのまま手首へと舌を滑らせていく。
「えっ、あ、ちょっ……!」
 反対の手で照美の肩を掴むがやめてはくれず、手首から腕を伝って、半袖の端まできたらUターンで、腕のさまざまな場所に軽く唇を触れるほほまゆ。間近でみる照美の顔は本当に綺麗で、ドキドキする鼓動がそれを認識する度に早くなっていく。
 「うっ、アッ……て、照美くん……」
 真っ赤になっていく顔は抑えることは出来なかった。
 ようやくキスの猛攻が終わったのか照美が吹雪と目を合わせた。
 「ちょっとやりすぎたかな」
 少し潤んだ瞳に熱くなった顔は、そっと触れた照美の手が冷たくて気持ちがいい。
 「ーー……と」
 「なんだい」
 「もっと……ほしい……腕だけじゃなくて、その普通に」
 下を向いて恥ずかしそうにいう吹雪を照美は思わず抱きしめた。照美のいい匂いが鼻をくすぐった。
 「じゃあ、とりあえずカーテンを閉めてから、ね」
  後ろを振り向くと、薬棚の扉に反射で真っ赤な自分が映し出されていた。シャーーっといいながら閉める音を聞きながら吹雪は両手でその顔を覆った。
 「可愛かったけど、人に見られたら僕も困るからね」 
 照美は吹雪にゆっくりと覆いかぶさりながら優しく微笑んだ。
カーテンは静かに風で揺れた。


20191111




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